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メタバースの現状と収益化市場展開

メタバースの市場にはいくつかの挑戦と潜在的な将来性があります。最大の課題としては収益化です。その収益化の難しさや苦悩の原因について、様々な企業様が苦戦を強いられております。

メタバースは2010年ほどから多くの企業がその可能性と市場に投資を始めました。2020年頃からその熱は急激に加速し、その翌年の2021年に、Facebook社(Facebook, Inc. ) からメタ社(Meta Platforms, Inc.)社名を変更して大きな話題になります。

1. メタバースの収益化の難しさ

メタバースの収益化が難しい理由は、大きく分けて「ユーザー層の確保」「技術的課題」「収益モデルの未成熟性」にあります。

  • ユーザー層の確保 メタバースの利用者数が限定的で、特に収益化に直結するリーチ(到達範囲)が十分でないことが課題です。例えば、人気のプラットフォーム「Roblox」では2023年時点でアクティブユーザー数が月間約5,800万人を超えていますが、同じ年齢層での主要なSNSと比べるとまだまだ少ないと言えます。また、現実のVRゴーグルやPCの性能も関係し、高スペックなデバイスが必須のプラットフォームは、参入障壁が高くなる傾向があります。
  • 技術的課題 メタバースのコンテンツは多くが3Dグラフィックを伴うため、動作の滑らかさや高品質なグラフィック、遅延のない体験が求められます。しかし、こうした高品質を提供するためにはコストがかかるため、収益を見込むのが難しくなるケースがあります。大手プラットフォーム「Meta」のメタバース関連事業は2022年だけで約137億ドルの損失を計上しており、いかに膨大な投資が必要かがわかります。
  • 収益モデルの未成熟性 現在のメタバース収益モデルとしては、アイテム課金(アバターやアクセサリーなど)、広告、企業のバーチャルイベントなどが一般的です。しかし、ユーザーがこれに対してどれだけ支出するかは不透明で、未だに多くの企業が十分な収益を得るに至っていません。また、アイテム課金や広告をメインの収益源とする場合、ユーザーの購買意欲が重要ですが、コンテンツの充実やリアリティが欠けているとユーザーも長期間関わり続ける動機が薄れます。

2. メタバース収益化の未来性

一方で、将来的にはメタバースは次世代のインターネットとして広がる可能性があります。今後の展望として以下の要素が注目されています。

  • ユーザー層の増加とVR技術の進化 VRデバイスのコストダウンや操作性の改善に伴い、一般ユーザーがメタバースに参加しやすくなることで、収益チャンスが広がると期待されています。ゴールドマンサックスの予測では、2030年までにメタバース市場規模は8,000億ドルに達すると見込まれています。例えば、ヘルスケアや教育、リモートワークの分野における仮想空間の利用が進むことで、新たなユーザー層が生まれる可能性があります。
  • 新たな収益モデルの可能性 メタバース内での土地取引やビジネス拠点の設置、企業のショッピング体験の提供など、物理的制約のないビジネス展開が期待されています。例えば、企業がバーチャルショップを開設し、顧客が仮想空間で商品を購入するような新しいEコマースの形態が見込まれています。こうした仕組みが浸透すると、広告収益や物販収益の他にもサブスクリプションやトークンエコノミーといった収益源も増えるでしょう。
  • 多分野での活用とコンテンツの充実 メタバースはゲームに留まらず、教育やビジネス、社交の場としても利用が進むと考えられています。企業がバーチャル会議やイベントを開催することで新たなビジネス機会が創出され、ユーザー参加の誘因が増えるとともに、イベントやインタラクションのデザインが進化することで、体験の質も向上し、利用者数の増加が見込まれます。

まとめ

メタバースの収益化には技術や市場の未熟さに伴う課題が多く存在しますが、今後の技術発展や新たな収益モデルの登場によって収益化の可能性は広がりつつあります。ビジネスや教育、ソーシャルの場としてメタバースが浸透することで、次世代のインターネットとしての成長が期待されます。